14年目の永遠の誓い
6.思いがけない懺悔
「ごめんなさいね、ご迷惑をおかけして」
迎えに来てくれたおばあちゃんが田尻さんに言うのが耳に入り、自分がいつの間にか眠ってしまっていた事に気が付いた。
「いえ! わたしは全然」
うっすら目を開けると、田尻さんは力強く首を左右に振っていた。
わたしは田尻さんちのリビングのソファに横になったままで、眠っている間に止まっていたらしい涙が、どこに残っていたのか、またツーッと頬を伝った。
その瞬間、わたしの方を見た田尻さんと目が合った。
「目、覚めた?」
わたしの横にしゃがむと、田尻さんはぽんぽんとわたしの肩を叩いた。
「あのさ、牧村さん。わたし、気の利いたこと言えないけど、何て言うか……あんまり、難しく考えることないと思うよ」
「……ん、ありが…」
「だから、今日はもうしゃべらなくて良いって言って…」
そこまで聞いて、思わず涙目のまま笑ってしまうと、田尻さんは最後まで言わずに肩をすくめた。
「やっと笑った。……ホント、今日はごめんね」
「ちが……、わた…し…」
「あー、もう、どう言えば良いかな? えっと、なんか相談に乗るとか言っておいて、逆にこんなことになっちゃって、ホント悪いなって思ってるんだけど、」
そこで言葉を切って、田尻さんは小首を傾げてわたしを見た。
「けど、牧村さんは、こんなの……で良かったんだよね?」
小さく頷くと、田尻さんはホッとしたように笑った。
「まあ……それなら、ホント、良かったよ」