14年目の永遠の誓い
「ごめんね、陽菜」
「え?」
なんで、このタイミングでおばあちゃんが謝るのかが分からない。
カナのことは、おばあちゃんは知らなかったらしい。だから、結婚についてどう思っているのかも、わたしには分からない。
混乱するわたしを見て、おばあちゃんは切なげに笑った。
「少し、あなたを厳しく育てすぎたわね」
おばあちゃんの言葉の意味が取れずに、わたしが思わず身体を起こそうとすると、おばあちゃんは「寝ていて良いのよ」とわたしの肩をそっと押した。
「少し、昔語りをしましょうか」
おばあちゃんは唐突に、そんなことを言うと、静かに話し出した。
「あなたに先天性の心臓病があるらしいと分かったのは、まだあなたがお腹にいる時だったの」
突然、時間が17年以上さかのぼった。
この話がどこに行き着くのか分からない。
それでも、おばあちゃんがわたしに大切な話をしようとしているのは、感じられた。
わたしは、静かに続きを待つ。
「響子さんは、その頃、出身校の付属病院にお勤めで、当然のように、そこの産婦人科にかかっていたの。家も建てていなくて、病院に近い街中のマンションに住んでいたのもあってね。
おかげで陽菜の病気も早く見つけられたのかしらね」
確かにわたしが生まれたのは、大学病院だった。
牧村総合病院ではないのが、少し不思議だったのだけど、お兄ちゃんも同じだと聞いていたから、そんなもんかと思っていた。