14年目の永遠の誓い
……知らなかった。
一番大きいのは牧村商事だけど、パパは他にもいくつも会社を持っているし、病院も同じくらい昔からあったのだと思っていた。
「牧村総合病院は、正明さんの夢だったの。
昔はこの辺に大きな病院がなくて、街にいたら見つけられる病気も見つからず、気がついたら手遅れ……なんてことも、良くあったそうよ。
正明さんの親友もそんな風に亡くなったんですって。
医者になるだけじゃなくて、小さな診療所を作るのではなくて、この町に大きな病院を……それが正明さんの夢だったの。
幸いお家が豊かだったからね、お兄様たちを味方に、お義父様を動かして資金を用意し、同じ志を持つ仲間を募って、とうとう本当に総合病院を作ってしまった。
でもね、設立資金を完全に頼っていたのもあって、理事長はお父さま。
牧村商事を、自分で継ぐか、幹人さんに継がすかしないと病院を潰すと言われて、逆らえなかったの」
「おばあちゃん、聞いてもいい?」
「ええ、何でも聞いてちょうだい」
「おじいちゃんのお兄様たちは、結婚されていなかったの?」
「上のお兄様は結婚されていたけど、子どもはいなくて、下のお兄様は未婚だったわ」
「そっか」
「そう。だから、お義父さまも幹人にこだわったのね。そうして、わたくしたち3人はお義父さまの家……お隣の家に入ったの」
「今のお家?」
「ええ、そうよ。いい加減古いわよね」
「ううん。とても落ち着くし、素敵よ」
「あら、ありがとう」
おばあちゃんはニコリと笑った。