14年目の永遠の誓い

「そんな響子さんを、正明さんがすっかり気に入ってしまったの。

そこから、熱烈アピールよ?

医者として……とか言いながら招待しておいて、実際には、ただの『ぜひ嫁に来てくれ』だし。言外に『将来、牧村総合病院を継いでくれ』って、匂わせてもいたわ。

医者としての生涯をまっとうできるよう、全力でサポートする、とか何とか熱く語って。

医者は素晴らしい職業だ。女性は妊娠や出産で職場を離れるし、成長にもブレーキがかかりがちだけど、幹人ならそこをカバーできる財力があるし、自分もサポートするからって。

その上、幹人は海外仕込みのストレートさで、全力アピール。

一ヶ月後くらいかしら? とうとう、響子さんもプロポーズを受けてくれたの」



初めて聞いたパパとママの馴れ初め。

とっても微笑ましくて、思わず笑顔がこぼれ落ちる。

いつの間にか、涙はすっかり止まっていた。

パパは約束通り、ママのお仕事をしっかり認めて拘束することはない。

ママも忙しく働きながらも、そんなパパを心から愛している。

二人は今でもとても仲が良い。

大好きな両親の話に心をほっこりと温めていると、なぜか、おばあちゃんの表情がスッと曇った。



「だから……、そんな背景もあって、陽菜のために響子さんが仕事を辞めようかと悩んでいる時、わたくしたちは止めたわ。

外科医は手術することで腕を上げていく。一番腕を磨きたい中堅での何年ものブランクは、響子さんの将来を随分と狭いものにしてしまう。

その時は、牧村総合病院に来てもらうには、まだ少し早かったの。脳外科もなく、響子さんの腕も後一歩だった。

だから、大学病院での厳しい勤務を続ける事を進めてしまった……」



おばあちゃんはわたしの頰に手を伸ばした。

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