14年目の永遠の誓い
おじいちゃんは、わたしのために、牧村総合病院に小児循環器科を設立した。
相当に良い条件で、腕の良いお医者さまを……権威と呼ばれるようなお医者さまを集めた。
わたしの手術には、日本どころか世界でも注目される神の手と言われるようなお医者さまが招聘される。
研修も兼ねて、とたくさんの院内のお医者様が見学に入る。
とても勉強になるのだと聞かされた。興奮がちに、術技のすごさを讃える声を何度も聞いた。
だから、申し訳なく思う必要はないのかも知れない。
だけど、他の患者さんには、当然のように、こんな特別扱いはない。
そして、それだけ手を尽くしてもらって、なお、わたしは手術のたびに死にかけて、助けられる。
そして、自由に動けるほどに良くなることもない。
自分の力で生きているのではなく、
大きな力で、たくさんの人の力で、生かされているのだとしか思えなかった。
そのせいか、死を怖いと思うこともなく、心の底からの死にたくないという想いを持つこともなかった。
そして、生きたいという強い想いを持つことすらなかった。
きっと、流れるままに流されていたら、どこかに行き着くから。
わたしは、素直にその流れに乗っていれば良いのだと、そう思っていた。