14年目の永遠の誓い
だってカナ、亀のようにゆっくりとだけど、去年までは毎日、学校の階段を自分で上がってたじゃない。
今年は教室が一階だけど、移動教室だったら、ちゃんと階段だって上がるよ?
「そう?」
それでも、カナは心配そうに続けた。
「無理するなよ?」
「ん」
カナは心配はするけど、無理強いはしない。
そう言えば、学校でだって、本当に調子が悪い時は容赦なく抱き上げられるけど、そうでなければ、わたしの好きにさせてくれる。
「ゆっくりな?」
「速くはどうやってもムリだから、大丈夫」
「そっか」
くすりと笑うと、カナも笑って頭をかいた。
ゆっくりと上り、更に踊り場で休憩までとって、本当に時間をかけて上がったのに、登り切るとやっぱり息が切れていた。
「大丈夫?」
「……ん」
息は切れているけど、学校で二階分上がった時や、長距離を移動した時に比べたら、なんてことない。
階段の横の吹き抜けから広い玄関が見える。
長い廊下の左右に幾つものドア。南側の奥の角がカナの部屋。
昔、北側のおじさまの書斎に忍び込んで、隠れん坊をして叱られた。
カナの部屋の手前は晃太くんの部屋。
そして、おじさまとおばさまの寝室。
おじささまの書斎の隣には、広めの和室と大きな物置。
懐かしい。
何も変わってなかった。