14年目の永遠の誓い

「ハル、歩ける?」

「あ、うん。……ごめんね。なんか、すごく懐かしくて」

「ああ、久しぶりだもんな?」



カナはホッとしたように笑って、軽くわたしの背を押した。



「部屋に行こうか?」



カナの後から部屋に入る。
窓の外に見える青い空と緑の木々。

ベッドと勉強机、本棚、ローテーブルと大きなクッション。

そんな風景は変わらないのに、どこかに感じる違和感。



「模様替えした?」

「うん。って言っても、身長が180超えた時にベッド買い換えて、向きを変えただけだけど」

「そっか。確かにベッドの向き違うね」



デザインの違いは思い出せなかったけど、全体的に大きくなって向きが違うのは確か。

中学生の頃、わたしもカナも今より大分、背が低かった。

懐かしいと感じつつも、すべてを同じと感じられないのは、わたし自身が成長したせいもあるかもしれない。

そんな事を思いつつ、トールサイズのベッドに近寄り、座る。

ベッドの向きが違うだけで、座った時に見える景色が違う。

まるで初めての場所に来たみたいで、なんだかとても新鮮だった。

幼い頃から、何度も何度も訪れた場所なのにね。



「あー、えーっと、……」



「あ……ごめんね」



いけない。

また、自分の世界に入り込んでた。



慌ててカナの方を見ると、何故かカナは困ったような顔をした。



「……なんか飲み物持ってくるけど、ハル、何が良い? ジュースかお茶なら、どっちが良い?」

「カナは?」

「麦茶かな」

「じゃあ、わたしも」

「了解。ちょっと待っててね」



カナが部屋を出た後、改めてぐるりと見回す。

やっぱり懐かしい。



……カナの部屋だ。



本棚にはバスケ雑誌と空手の本……の他に、なぜか、



「……年収300万からはじめる不動産投資?」



そんな本をはじめ、株式投資やFX、様々な投資に関する本が10冊以上も並んでいた。

カナが投資に興味があったなんて、まったく知らなかった。

初心者向けっぽいものばかりだから、おじさまのってことはないだろう。

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