14年目の永遠の誓い

「お待たせ!」



5分ほどして、カナが戻って来た。

カナは手に持ったお盆を部屋の中ほどのローテーブルに置いた。



「ハル、食べられるかな?」

「え? 何を?」

「桃のシャーベット。お袋が持ってけってうるさくて。ハルが来るってわかってたら、違うものを用意しておいたのにって」

「ありがとう。おばさまのお菓子、好きよ? 果物たっぷり入っていて」

「ハル、果物好きだよな」

「うん」

「じゃあ、溶けないうちに食べようか」



カナに手を引かれて、ローテーブル横の大きなクッションに座った。

まずは、麦茶を一口。それから、シャーベットを盛りつけた涼しげなガラスの器とスプーンを手に取った。

果肉がたっぷり入っているのが、外から見てもよく分かる。



「美味しそう」

「うまかったよ」

「食べたの?」

「昨日の夕食後に出た」

「……すごいね。夕飯の後にシャーベットまで食べるんだ」

「ケーキの日もある。夜はさすがに太るしやめてって言うんだけど、男の子はツマラナイって拗ねるし、けっきょく食べちゃうんだよな」



わたしがクスクス笑うと、カナは不思議そうな顔をした。



「なんか変なこと言った?」

「カナが太るなんて……無駄な脂肪なんて、どこにもないんじゃない?」



手を伸ばして、カナの二の腕に触ると、カナは驚いたような顔をした。



「……あ、痛かった? ごめんね」

「いや、……ハルの腕力で痛いなんてあり得ないから」



真顔で言われると、さすがにショックだよ、カナ。
じとーっと見つめると、カナはハッと我に返ったように、



「ごめんごめん」



と苦笑いした。

< 164 / 228 >

この作品をシェア

pagetop