14年目の永遠の誓い
「お待たせ!」
5分ほどして、カナが戻って来た。
カナは手に持ったお盆を部屋の中ほどのローテーブルに置いた。
「ハル、食べられるかな?」
「え? 何を?」
「桃のシャーベット。お袋が持ってけってうるさくて。ハルが来るってわかってたら、違うものを用意しておいたのにって」
「ありがとう。おばさまのお菓子、好きよ? 果物たっぷり入っていて」
「ハル、果物好きだよな」
「うん」
「じゃあ、溶けないうちに食べようか」
カナに手を引かれて、ローテーブル横の大きなクッションに座った。
まずは、麦茶を一口。それから、シャーベットを盛りつけた涼しげなガラスの器とスプーンを手に取った。
果肉がたっぷり入っているのが、外から見てもよく分かる。
「美味しそう」
「うまかったよ」
「食べたの?」
「昨日の夕食後に出た」
「……すごいね。夕飯の後にシャーベットまで食べるんだ」
「ケーキの日もある。夜はさすがに太るしやめてって言うんだけど、男の子はツマラナイって拗ねるし、けっきょく食べちゃうんだよな」
わたしがクスクス笑うと、カナは不思議そうな顔をした。
「なんか変なこと言った?」
「カナが太るなんて……無駄な脂肪なんて、どこにもないんじゃない?」
手を伸ばして、カナの二の腕に触ると、カナは驚いたような顔をした。
「……あ、痛かった? ごめんね」
「いや、……ハルの腕力で痛いなんてあり得ないから」
真顔で言われると、さすがにショックだよ、カナ。
じとーっと見つめると、カナはハッと我に返ったように、
「ごめんごめん」
と苦笑いした。