14年目の永遠の誓い
二人のやり取りに、思わずクスクスと笑ってしまう。
おばさまも楽しげに笑う。
「今日はお昼も食べていってね? ランチは食堂で一緒に食べましょう?」
「はい。ありがとうございます」
「うふふ。張り切って作るから楽しみにしていてね」
「……お袋、ハル、そんなに食べられないから」
カナがわざわざ突っ込んでくれる。
でも、確かに、朝の10時におやつを食べたら、いつも以上にお昼が入らないのは確か。
「やーね。知ってるわよ。量じゃなくて質の方で張り切るんだから。……じゃあ、後でね」
おばさまは、ほがらかに笑いながら部屋を後にした。
わたしなんかがカナのお嫁さんで良いのかな……と正直、そう思う事もある。
お料理もお洗濯もお掃除も……家事はほとんど一切できない。
覚えようにも体力がついていかない。
しょっちゅう体調を崩しては学校を休み、年に何回も入院をする。
手術をすれば死にかけて、みんなに心労をかける。
その上……カナは、広瀬の姓を捨てて、牧村になる。
それでも、おばさまも、おじさまも、わたしたちの結婚を手放しで喜んでくれているのが分ったから、
わたしは躊躇わずに、カナとの人生へと進んでいける。
ありがたいなぁ……と、心から思う。
おばさまがわたしのために作ってくれたイチゴのタルトは、甘さ控えめでとっても優しい味がした。