14年目の永遠の誓い
何のイベントもなくても、夏の暑さにやられると寝たきりに近い生活になるという、こんな身体のせいもあり、物心ついた頃から、8月は毎年、体調管理も兼ねて避暑地の別荘に避難する。
長距離の移動は大変だけど、それでも滞在中の身体の楽さが違うから。
だからこそ、ムリしてでも移動する。
春や秋に近い気候のその場所なら、わたしでも随分と楽に暮らせる。
いつからか、お兄ちゃんの他、晃太くんとカナも一緒に別荘に行くようになっていた。
お盆休みには大人もみんな大集合する、広瀬家と牧村家の恒例イベント。
「あ、そっか」
カナも同じことを思い出したみたいで、
「ハル、リゾートウェディングは? 別荘の近くに、ちょうど良い教会があったよな?」
と満面の笑みを浮かべた。
「それか、入籍はオレの誕生日にして、式はハルの体調が落ち着く秋口にするってのも良いかも」
カナは良いことを思いついたと言う感じで嬉しげに笑った。
「入籍日に結婚式を……って思ってたけど、別に多少ずれても良いよな?」
涼しくなってから改めて結婚式を……と言うカナの提案は確かに妙案。
けど、ごめん、カナ、それはしたくない。
「……ごめんね、できたら、お式をするなら入籍の日かその次の週末くらいまでがいい」
「え? なんで?」
カナは不思議そうに問い返す。
そうだよね。
だって、式すらしなくても良さそうだったわたしが、なんで日にちにはこだわるか、カナだって不思議に思うよね。
「多分、手術する事になるから」