14年目の永遠の誓い
「……え?」
「ちょっと、大きな手術になりそうで」
「手術!? 大きな!?」
「うん。そうしたら、下手すると何ヶ月も入院しなきゃいけなくなるし。
経過が良くても、ドレスを着られるようになるには、やっぱり何ヶ月か……半年とかかかるかも知れないし」
カナの顔は強張っていた。
ごめんね。驚かせるつもりはなかったんだ。
順を追って話せば良かった。隠すつもりはなかったんだから。
ただ、まだ決定ではなくて、もしかして……って打診されたくらいだから、あえて言うことはなかった。
だけど、わたしが了解したら、まず決まるのだと思う。
だって、執刀医の先生がもう決まってるんだよ?
院外から招聘するのに……。
「……手術、するの?」
カナはわたしの目をじっと見つめながら、聞いてきた。
「多分」
「去年、したじゃん」
確かに今までは、開胸手術は何年かに一回程度だった。
「去年のは、弁置換と血管の入れ替えだったかな? そう言う簡単な手術」
手術の内容なんて、カナともあまり話したことはない。
けど、これからはカナには伝えなきゃいけないんだ。結婚するって、そう言うことだよね?
わたしは息をスーッと吸い込み、ふうっと吹き出してから、グッとお腹に力を入れた。
カナはきっとショックを受ける。
けど、ちゃんと受け止めてくれるって、分かっている。
わたしは、あのね……と言葉を綴った。
「もうね、保たないんだって、このままじゃ」