14年目の永遠の誓い
「………え?」
「わたしの心臓、けっこう限界に来てるみたい」
「だけど……」
「うん。今のままでも大丈夫。自分の足で歩けてるし、常時酸素吸入しないでも動けるしね?
けど、放置すると悪化するのは目に見えてるから、今の内に対処しましょうって」
カナはホッとしたような顔をした。
「驚かせてごめんね?」
そう言うと、カナは
「ホント、驚いた……」
とわたしに手を伸ばし、そっと抱き締めてくれた。
「じゃあ、オレの誕生日にリゾートウェディングに決定」
慈しむように、カナがわたしの髪を、背をなでる。
「ハルはどんな式がいい?」
「全然、こだわりないんだけど……」
と言ったのに、カナはわたしの言葉の続きを待つ。
ドレスの重さが憂鬱だとか思っていたのに、式を挙げる気になったら、やっぱり出てくるんだね。
幾ら涼しい避暑地でも、梅雨と7月の暑さにバテた後……とても万全とは思えない。
けど、もしできるなら……
「パパとバージンロード歩きたいな」
「……おじさんと!?」
カナが不満げにつぶやいたものだから、思わずクスリと笑ってしまう。
「パパと腕組んでバージンロードを歩いて、カナのところまで連れて行ってもらいたいな……」
パパの手を離れて、カナの手を取るって、どんな感じだろう?
「それから、カナと一緒に神父さんのところに行って……」
永遠の愛を誓うんだ。
さすがに気恥ずかしくて、言葉にできなかった。
でも、カナには伝わったみたいで、わたしの代わりにカナがとろけるような笑顔で口にしてくれた。
「うん。……教会で、永遠の愛を誓おうね」
わたしはカナの腕の中で、こくりと小さく頷いた。
☆ ☆ ☆