14年目の永遠の誓い

「そうかな? ハルを守るには、やっぱ健康第一だしね」

「君の価値観の中心には、きっと陽菜がいるんだろうね」

「……価値観の中心?

何か難しくてよく分からないけど、……うん、オレの思考の中心にハルがいるのは確かだよ?」



オレが言うと、じいちゃんはひとしきり笑ってから、ふと真顔になった。



「カナくんには言っておかなきゃ、と思ってね」

「え? 何を?」

「陽菜の今度の手術、けっこう難しくてね」



思わず居住まいを正した。

ハルも大きな手術になる……とは言っていた。



「平たく言うと、かなり危険だ」



じいちゃんの言葉に、オレは持っていた缶コーヒーを取り落としそうになった。



「じいちゃん!? ちょっと待って!」



大きな手術だとは聞いていた、けど、難しくて危険だとは聞いていない。

っていうか、かなり危険って、どういう意味だよ!

何を伝えたいんだよ、じいちゃん!?



……分かってる。

本当は、分かってる。



心臓の手術で危険って言葉が何を意図するかなんて、一つしかないだろ?



「ねえ、ハル、それ知ってるの?」

「……どれくらいとは聞かれないけど、察しているだろうと思う」

「察してるって、何!?」

「本当は夏休みに入ってすぐに手術をしたかったんだ。けど、陽菜がカナくんの誕生日の後が良いと言ってね」



……ハルは、手術をすることになるかも知れないから、式をするならオレの誕生日か、その次の週末くらいが良いと言った。

実際には、そこまでの半月以上、既にハルが手術を送らせていた……と言うこと?

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