14年目の永遠の誓い


「もう、すっかり秋だね」



車を降り、色づきかけた庭の木々を見て、空を流れる羊雲を見上げてハルが言った。

11月頭、入院から2ヶ月半近くが過ぎていた。
何度かの外泊を経て、ようやくこぎ着けた自宅療養。



「寒いだろ? 中に入ろう」



入院した時は半袖を着ていたハルが、コートを着て退院。

オレにはまだコートは不要。だけど、この入院で元々少なかった筋肉も脂肪も更に落ちてしまったハルに、秋の気温は若干厳しい。



「お帰りなさいませ!」



玄関先で、ハルは沙代さんに抱きしめられて、「ただいま」と抱きしめ返す。



「お部屋、暖めてありますよ。横になってくださいな」

「そんなに大事にしなくても大丈夫よ?」



確かに、病院は車で5分の距離。
移動に疲れる程ではない。



「ハル、それじゃあ、リビングでお茶でも飲もうか?」

「うん」



ハルが嬉しそうに頷くと同時に、沙代さんがいそいそとキッチンへと向かった。



お茶を一杯飲んだ後、寝室に移動して、ベッドに腰掛けてひっくり返る。



「久しぶり!」



そう言うと、ハルも隣に座り、クスクスと笑った。



「カナってば、毎日病院に泊まり込むんだもん」

「そりゃ、泊まるでしょ?」



オレは起き上がって、ベッドの上であぐらをかく。



「そう? 今まで、誰かが泊まっていったことって、一度もないんだけど」



ハルは小首を傾げた。

オレはハルの頬に手を伸ばす。



「ハル、オレたち、一応新婚だからね?

これでも、いつもの部屋に戻るまでは我慢したんだよ?」

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