幼なじみの罪ほろぼしと恋心
「花乃の担当の若生屋さんの売上が大分落ちてるの。ここ3年の履歴を見たけどこんなに長期的に注文が止まった事無かったみたいよ。何か聞いてる?」

「ほんとだ」


美野里の言う通り、若生屋さんの注文は十二月に入ってから激減している。


私も昨日最近注文無いなとちょっと気になったけど、こうしてグラフで見ると実際はそれ以上だった。


12月上旬のある日を境にピタリと注文が途絶えてしまっている。


これってもしかして……。


「他社に乗り換えようとしてるのかも」


美野里が憂い顔で言う。


「まさか」

若生屋さんはいろいろと細かいけど、何の連絡もなくいきなり取引を切る様な事はしないと思う。


でも美野里は営業部門のデータ管理をずっとやっていて私より全体の流れを把握している。


今の時期に注文が無いって事がおかしいって感じたから私に報告してくれたんだ。


「課長に相談してみるよ」


若生屋さんは須藤さんが担当する企画もあるみたいだし、まだはっきりしない状況でも報告した方が良い気がする。


「うん、それがいいと思うよ」


美野里も同感の様で頷いた。


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