幼なじみの罪ほろぼしと恋心
「変だな。この前のメールに注文を入れたって書いて有った覚えが有るけど」


そのメールを探しているのか須藤さんはマウスを動かしながら言う。

でもなかなか見つからない様でイラついた様に顔をしかめて呟いた。


「だいたい何で俺に通常注文の連絡してくるんだよ」

「……」


本当に良かった。須藤さんの上司が側にいて。


ふたりだけだったら、かなり嫌味を言われていた気がする。


しばらくするとメール捜索を諦めたらしい須藤さんが座ったままの状態で私を見上げて言った。


「今度の訪問の時に確認しよう。一応今までの注文一覧とか資料を準備しておいて」

「はい。課長への報告は出張から戻ってからでいいですか?」

「課長への報告は打ち合わせの後でいいだろ。今月売上げが落ちたって言っても販促玩具じゃたかが知れてるし」


面倒そうに須藤さんは言う。

この人のこういう所、かなり嫌い。


「……分かりました」

私は不満いっぱいのまま須藤さんの席から立去った。



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