Epsode of secret【完】
「あーあ」
面倒だろ、あんなの。だからサボったのに。忘れてたわけじゃないけど口煩いのが2人も居るとなると頭痛い。
その時、俺の少し向こう側にいる誰かが見えた。……俺の他に誰か居たのか?
俺よりも20センチ近く小さい背。肩を少し越した辺りまである黒髪が風に揺れた。
その女が、こっちを不意に見た。え、何で。……何で、泣いてるんだよ。
「っ……!!」
「……何で、泣いてんの」
気になった、彼女が。ビクリ、と肩を震わした彼女は一歩後ずさった。
「なあ、名前、何」
俺の問いは、春風に乗って、霧散した。