危険な愛を抱きしめて
「ああ、それで中を一生懸命見てたんですね~~」

 風ノ塚は、オレの言葉にも、にこにこ笑って言った。

「そんなに、スィーツ作りに興味があるのなら、入って、近くで見ていいですよ~~?」

「本当か?」

 普通、厨房なんて、外部の人間が入ったら、いけないんじゃ……?

 オレの戸惑いに、風ノ塚は、また笑って言った。

「売り上げアップのお礼ってわけじゃないですけど。
 お菓子作りに興味を持ってくれる人は。
 ぼく、大好きですよ。
 良かったら、是非どうぞ」

 風ノ塚の申し出に。

 オレは、うなづいた。

 本当は、由香里のことが見たかっただけ、とも言えずに。











 

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