危険な愛を抱きしめて
 


「……雪?」

 バイトが終わったらしい。

 ケーキ屋の白衣から、私服に着替えた由香里に呼ばれて。

 オレは、ようやく気がついた。

「やべ……時間!」

 風ノ塚の手元を見ているだけで、信じられねぇほど、時間を食っていた。

 早く帰らないと、また。

 心配した町谷に、車を出されてしまう!

 少し焦りながら、がたがた音を立てて、イスを片付けるオレに、風ノ塚は、微笑んだ。


「その場所は。
 あなたに開けておいておきますね?
 ウチの店に来て、良かったら。
 いつでも中に入って、ケーキ作りを見て行っていいですよ?」







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