危険な愛を抱きしめて
アヤネ……あんた、それ、全部一人で食うのか?
由香里とのお茶会でも思ったが……なんだって女ってヤツは……こんなにケーキを食う生き物なんだろう?
ここケーキが美味いのは、判るが……
ため息をついたオレに、アヤネが聞いてきやがった。
「音雪って、将来パティシエにでもなるつもり?」
そのアヤネの声の中に。
なんだか莫迦にしたような響きを見つけて、カチンときた。
それまで、オレは。
パティシエになろうなんざ、ちっとも思ってなかったけれども。
アヤネに言われて、自然と眉間にシワがよる。
「……将来の夢がパティシエで何か悪りぃのか?」
固くなったオレの声に気がつくコトなく。
アヤネは、ころころと笑いやがった。