危険な愛を抱きしめて
 別れ……!?

「そんな顔をするな。
 俺も死ぬつもりはない。
 今の所はな。
 ……ガサ入れだとさ。
 明日、早朝。
 警察が、俺を捕まえに来る事を、情報屋が言っていた」

「な……ぜ……?」

「麻薬取り締まり法違反だと。
 俺は、アレックスの他にも、ヤバい薬を取り扱っていたから……
 最低きっと。
 2、3年は、出てこれないと思う」

「それを知って……逃げないのか……?」

「……由香里が死んで。
 すべてが、何も意味がなくなった。
 あとの心配事は、せいぜい、お前の事ぐらいだ」

 言って、薫は。

 側から、中身の一杯詰まった瓶を取り出し、振る。

 マグカップほどの大きさで、茶色の広口瓶を。



「……アレックス」

 その正体を、呟くオレの声に。

 薫は深くうなづいた。



 
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