危険な愛を抱きしめて
 
 す……好きなヤツ……!


 思わず、手を止めたオレを、風ノ塚は笑って見てる。

 それが、いつものにこにこ笑いではなく。

 にやにや笑いになっていることに気がついて、オレのアタマは煮えそうになった。

「……村崎君~~
 顔、赤いですよ~~」

「……」

「意外ですね~~
 村崎君みたいなひとは、女の子に慣れていると思ってたんですが~~」

「…………」

「なんか、可愛い~~
 クビまで真っ赤で。
 そのひとのことが本当に、好きなんですね~~」

「……うるさいっ!」

 ますますひどくなる、風ノ塚のにやにや笑いに。

 八つ当たりするように、泡立て器でかき混ぜていた。

 そして。

 しばらくしたら、また風ノ塚は、オレを構う。

「むっ・らっ・さっ・きっ・くん♪」

「……なんだよ!」

 睨んだオレに、風ノはにこっと笑った。

「も、出来てますよ~~」

「……あ」

 ……本当だ。

 白身、ふわふわになってる。

 呆然としている、オレを尻目に。

 風ノ塚は、メレンゲを指ですくって舐めた。

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