危険な愛を抱きしめて
「やっぱり。
 初めてにしては、ずいぶんと上手ですね~~?」

 風ノ塚は、見込み通りだったと、しれっとした顔で批評した。

 ~こ~い~つ~は~

 ただ、莫迦みたいに、にこにこ笑っているだけのオヤジじゃねえ。

 やっぱり、今まで出会ったどんなタイプのヤツとも違う。

 一筋縄では、収まりそうにない気配に。

 風ノ塚は、更にたたみかけるように言った。


 ……にこにこ笑いで。


「この調子で、黄身とクリームの泡立ても、頑張っちゃいましょうねぇ~~?」

「~~~っ!」



 風ノ塚に言われてオレは。

 無言で、猛烈に、次の相手の黄身と格闘を始めた。

 も、もしかしたら、オレは。

 ……こいつに、一生勝てねぇかもって言う。

 湧いて来た弱気を否定するように。

「村崎君~~
 今度は、乱暴ですよ~~?」

「るっさい、です!」

 ちくしょ~~っ!

 オレは、絶対、負けねぇ!

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