危険な愛を抱きしめて
「……死んだら、ダメよ?
 勝手なこと言ってるのは、わかってるわ。
 だけど、あなたは死んじゃダメよ?」

「な……ん……!」

 突然、薫が口調を変えたのを聞いて、オレは、思わず目をむいた。

 と。

 それと一緒に。





 ……どきん



 オレの心臓が、勝手に時を打ち始めた。

 普段、薫は。

 酒に酔ってもこんな言い方をしないのに。

 しかも、こんなに似ているなんて……

 もう、二度と聞けないと思っていたあの声に。

 男女の差で声の高低はまったく違う。

 しかし。

 良く似ている声の質と。

 口調の完全なコピーに、オレの心臓が跳ね上がった。






「……由香里……」











 
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