危険な愛を抱きしめて
ボンっとアタマに浮かんだ由香里の顔に、風ノ塚のにやにや笑いが重なった。
「篠原さんは、そろそろアルバイトの時間が終わるでしょう?
いいですよ~~?
服を着替えたら、店のテーブルとイスをお貸ししますから~~。
そうそう。
店にあるお茶もセルフサービスでしたら、なんでもどうぞ~~
二人で、お茶して帰ったら、いかがですか?」
「ななな……なんで、オレが、由香里と茶なんか……」
「おや?
違うんですかぁ~~?」
「……違いませんよっ!」
……なんだってこいつは、こう。
自分のことはさておいて、こう、鋭いんだっ!
風ノ塚のにやにや笑いに、ため息で応えて。
オレは、こいつと勝負するのだけは止めておこうと、ココロに決めた。