危険な愛を抱きしめて
「篠原由香里の居場所は、ここか!?」

 ……え?

 ケーキ屋に入って来た男たちの言葉に。

 オレは、すぐに奥から顔を出した。

 そして、やつらの視線が、アヤネではなく。

 確かに、由香里に向かっていることに気がついた。

 アヤネは、確か。

 自分が、追いかけられて来たって言ってなかったか?

 その、当の本人に視線を移してみれば。

 アヤネは、渋い顔をして、男たちを見てる。

 そう。

 怖がっている、風でもなく……!

 アヤネは、絶対、何かをたくらんで……

「おい、由香里……!」

 俺が声をかけるひまも、あらば、こそ。

 由香里は、男たちを見据えて、静かに席を立った。

「あたしが、そうよ?
 何か、御用かしら?」

 由香里の言葉に。

 人相の悪い男のリーダーが、ヒュゥと口笛を吹いた。

「何だ。
 聞いていた話と、だいぶ違うじゃねぇか?
 大の男をも蹴り飛ばす、おかしな武術を使う強ええ女だっつうから。
 どんな、とんでもないゴリラ女かと思ってたら……
 こんな、お嬢様だったなんてな」

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