危険な愛を抱きしめて
「……何の話をしているのかしら?
 あたし、全く話が見えないんだけど」

 由香里の言葉に、、リーダー格の男が笑った。

「別に、大した話をしているわけじゃねぇ。
 あんた、まずいヒトの恨みを買っちまったんだよ。
 平たく言えば。
 お前を潰せば金が入るってぇ、話でね」

 男は、目をすぃ、と細めた。

「お前には、何の恨みもねぇが、ちぃとばかり俺らに付き合ってくんねぇ?
 なに、用事はすぐすむし。
 俺らに殴られるのが怖ければ、ホテルで一発づつやらせてくれてもいいんだぜ?」

 そう言って男は、由香里のほほをなでようと手を伸ばした。

「しみじみ、キレイな顔の女だな。
 俺としちゃあ、傷をつけるよりも、味見をシタイところだが……」

「……お断りよ。
 帰って」

 由香里は、パシッという小気味いい音をたてて、男の手を振り払った。

「ナニ払ってるんだよ!
 優しくシテやろうって言ってるのに!」

 言って男はぐい、と。

 払った由香里の手をつかんで引き寄せた。
 
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