危険な愛を抱きしめて
 自分を助けてくれようとする男の姿は。

 由香里の眼には、とてもカッコよく写るに違いない。

 たとえ、それが弱っちぃナイトであろうとも。

 いや。

 本来なら、ケンカもできねぇ野郎が、守ってくれようとするからこそ。

 価値があるのか……!

 こんな経験の積み重ねが。

 外見がぱっとしなくても。

 既婚者であったとしても。

 由香里が風ノ塚を好きになった理由の一つなのかと。

 オレの頭は煮えそうになった。

「おとなしく~~
 今すぐ~~
 帰っていただけないのなら~~
 僕は~~
 ためらいなく、警察を呼ばせていただきます~~」

「るせぇ!
 ウザいこと言ってんじゃねぇよ!
 関係ねぇヤツは、引っ込んでろ!」

「僕は、ここの店主です~~
 関係なくありません~~」

 自分の城である、ケーキ屋と。

 バイトとはいえ、従業員である由香里を守るべく。

 風ノ塚は、一歩も引かなかった。

 だけども。

 風ノ塚は、男に殴られて、あっさりと吹き飛んだ。
 
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