危険な愛を抱きしめて
愛(1)
……次に気がついたとき。
オレは、薄闇の中にいた。
夜明けか。
夕暮れかわからねぇ。
夜と昼との狭間の時間。
オレは。
細い道を、たった一人で歩いていた。
丸太を半分に切っただけのような、体育の授業で使う平均台みたいな道だった。
今まで、危ういバランスをとりながら歩いていたから。
足もとばかり見てて周りの風景を見る余裕なんざなかったが。
ふと、顔をあげて前を見れば。
地平線の果てまで続く、気の遠くなりそうなほど、長げぇ、道だってことがわかった。
そして。
目の当たりにした周囲の景色に。
オレは、立ちすくんだ。
その美しさと。
……恐怖に。