危険な愛を抱きしめて
『……き』
「……?」
『……雪』
「……由香里?」
かすかな声に。
大好きなヒトの声に乱れたココロがすっと、収まった。
由香里の声は。
不安定な世界の中での唯一の希望だった。
暖かい由香里の声を、もっと聞こうと、オレは耳をそばだてる。
『雪……戻っておいで……?』
どこに?
見渡しても、ここは。
一面の薄闇で、どこに帰ればいいか、なんて判らなかった。
由香里の声が聞こえて来る谷底は。
あまりに恐ろしくて、覗き込むことだって出来なかった。
それでも。
由香里の声が、オレを誘う。
『雪……帰っておいで?』
木製の橋は、驚くほどの速さで、壊れてく。
ほら、もう、そこ。
目の前まで……!
もう、迷っている暇なんか、なかった。
『雪ーーー!!!』
悲鳴にも似た、由香里の呼び声に後押しされて、オレはようやく飛んだ。
目をつぶって。
暗い、谷底に向かって。
どちらも怖いのならば。
声が聞こえた方がずっとマシだ。
たとえ、谷底が光のささねぇ無の世界でも。
由香里の声だけは、満ちているのだから。
「……?」
『……雪』
「……由香里?」
かすかな声に。
大好きなヒトの声に乱れたココロがすっと、収まった。
由香里の声は。
不安定な世界の中での唯一の希望だった。
暖かい由香里の声を、もっと聞こうと、オレは耳をそばだてる。
『雪……戻っておいで……?』
どこに?
見渡しても、ここは。
一面の薄闇で、どこに帰ればいいか、なんて判らなかった。
由香里の声が聞こえて来る谷底は。
あまりに恐ろしくて、覗き込むことだって出来なかった。
それでも。
由香里の声が、オレを誘う。
『雪……帰っておいで?』
木製の橋は、驚くほどの速さで、壊れてく。
ほら、もう、そこ。
目の前まで……!
もう、迷っている暇なんか、なかった。
『雪ーーー!!!』
悲鳴にも似た、由香里の呼び声に後押しされて、オレはようやく飛んだ。
目をつぶって。
暗い、谷底に向かって。
どちらも怖いのならば。
声が聞こえた方がずっとマシだ。
たとえ、谷底が光のささねぇ無の世界でも。
由香里の声だけは、満ちているのだから。