危険な愛を抱きしめて
_(3)
「やあ~~
村崎君じゃないですか。
お帰りなさい~~
日本には、いつ帰って来たんですか~~?」
それから、約一年後。
久しぶりにケーキ屋の厨房に顔を出すと。
風ノ塚は、上機嫌で、オレを迎え入れてくれた。
相変わらず、細い目を更に細くして、ヒトの顔をみるなり、にこにこと笑う。
そんな、いかにも脳天気~~なコイツの顔をみてると。
風ノ塚と勝負しよう、なんて気が一気に失せた。
米国にいる時は、ずっと。
どうやって勝つかばっかり考えていたはずなのに、まったく!
そう、こっそり悪態をつくオレのココロを知ってるのか、どうか。
風ノ塚は、心配そうにクビをかしげて聞いてきた。
「それで、村崎君~~
身体の調子は、ど~~なんですか?」
「ああ。
前よりは、だいぶいいぜ。
定期的に由香里んちの病院には行くから、完璧とは言えないけど。
フツーのことをフツーにしている分には問題ねぇんだ」