危険な愛を抱きしめて
 

 一つ……二つ。

 石は窓に当たって、小さくとも良く響く音を鳴らす。

 丸一年間。

 由香里とは会っていなかったけれど。

 ……今は、どうしているんだろう。

 石が響いても、出てくる気配は、なくて。

 オレの不安は、増すばかりだ。

 そして。

 とうとう。

 仕方ねぇ、強行突破してしまえ、と。

 雨どいに足をかけた時。

 からからからっと窓が開いて、ようやく。

 由香里が顔を出した。


 ……のに。


「あれ?
 ……雪……?」

 なんて、呟いたとたん。

 由香里は顔をぼんっと赤らめて、そそくさと病室に引っこんで行きやがった。
 
「ちょっ……!
 ナニ逃げてんだよ!」

 とりあえず、元気なのは良かった。

 が。

 予想外の反応にびっくりして、オレは思わず、叫んだ。

「おい、由香里ってば!」
 
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