危険な愛を抱きしめて
 


「由香里……由香里……!」



 オレは、夢中で彼女の名前を呼んだ。

 オレを受け入れ、苦痛に耐える由香里が愛しくて。

 ……愛しくて、たまらなかった。



「……雪……
 ……雪……好き……
 ……大好き」



 由香里もまた。


 オレの背に手を回し。


 しっかりと抱きしめて、快感に、すすり泣いているようだった。



 ……ああ。

 もし、こんなことで。

 由香里のココロの『一番』の席を独占できる、というのなら。

 いつまでも、何度でも、由香里とつながっていたかった。

 ずっと由香里を愛していたかった。





 ……のに。


 
 激しく揺さぶられ、昇りつめた初めての感覚に。

 疲れ切った由香里が、果てる寸前に……

 その口からこぼれて落ちた言葉に、オレは。




 ……心臓をわしづかみにされた。

 
 
< 215 / 368 >

この作品をシェア

pagetop