危険な愛を抱きしめて
 





 ……どがっ。

 げきょっ。






 あごの骨が砕ける音がした。

 ………脆(もろ)い。

 こんな時、いつも、オレは。

 ヒトのカラダって、とても脆いもんだ、と思う。

 オレは。

 男の振り回した拳を、紙一重でよけながら、反撃の拳を放ち。

 それが、男のあごにまともにヒットしたんだ。

「オレとヤルなら、遊びの喧嘩じやねぇ。
 死ぬ気でかかって来い!
 最低でも、病院送りにしてや……」

「莫迦ね」

 勝利の雄叫びをあげようとした、オレのアタマを、由香里は、げしっと殴って止めた。

「……ってえ、ナニすんだよ!」

「雪の莫迦力。
 相手のレベルはわかっているのに!
 手加減ってコト知らないんだから!」

 言って由香里は、キラリ、と光る目で男達を睨みつけた。

「あなた達。
 本当に、まだヤル気……?」


 
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