危険な愛を抱きしめて
……なんとかして、由香里の役に立ちたい。
そう思うと、矢も盾もたまらなかった。
一番に好きなわけではねぇオレに、初めてをくれた由香里のために。
自分が出来ることを出来る限り、精一杯、してやりたかったんだ。
……その思いだけを胸に。
オレは、医者であり。
保護者である由香里の叔父と話をしようと、受診日じゃねぇ日に。
いつも、自分が通される診察室じゃねぇ、院長室に、乗り込んだんだ。
すると。
ヤツは、眉間にシワを深々と刻んで、言いやがったんだ。
「村崎家の……資金……援助ですか……?」
その意外に、暗い顔に、オレは、嫌な予感を抱いて言った。
「……いや、別に村崎家……ウチは、関係ねぇし。
オレの、個人的なやつだから、資金援助……なんて言えるほど、金を出せるわけじゃねぇ。
……ただし。
オレが動かせるだけのものは、全部出すから。
少しは、まとまった金に……」
……なる、と言う言葉を。
オレは、由香里の叔父に遮(さえぎ)られた。