危険な愛を抱きしめて
「私の妻は、由香里達の血のつながった叔母で……
 同じ病気を持っていました。
 私も、彼女が、病気を得ても……生きていた時。
 この病院の緒権利をヒトに渡してまで。
 お金をかけて、治療する努力をしていましたが……結局。
 彼女の苦痛を、長く伸ばしただけでした」

 由香里の叔父は、さらに。

 自分の手が白くなるほど握りしめた。

「……私は、あんな思いを由香里にさせたくは、ないんです!
 本人や、薫とも話し合いますが……
 私は医師として、病を見て来た大人として、まず最初に。
 穏やかな最後が、由香里に訪れてくれるように努力したいのです。
 村崎君は、どうか……
 お金の話みたいな泥臭い話は大人にまかせて。
 由香里の心の支えになってやって……ください」

 大人!

 オトナ!

 じゃあ。何か?

 大人じゃなくちゃ、こういう心配をしてはいけないって言うのか……!

 叔母は、ダメだったとしても、由香里は、違うかもしれねぇじゃねぇか!

 どんなに治る確率が低くても。

 ……奇跡は、起こるかもしれねぇじゃないか!

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