危険な愛を抱きしめて
 


「……ってぇ、な!」




 最悪な気分で、院長室を飛び出せば。

 デカい壁に鼻をぶち当てた。

 ………薫だ。

「何だって、あんたはいつも!
 変な場所に突っ立っているんだ!」

 八つ当たりに、わめいて。

 鼻を押さえて座り込むオレに。

 薫は、おお、スマンと手を差し出した。

「とは、言っても。
 ここは、俺んちなんだからな?
 変な場所といわれても、困る。
 どちらかと言えば、前を見ずに飛び出してきたお前が悪い」

「……るさい!」

「なんだ?
 いつもに増して不機嫌そうじゃないか?
 ……っていうか、ナニ泣きそうな顔してんだよ?
 そんなに、打った鼻が痛いのか?」

「違う!!」

 どうせ、あんただって。

 自分の叔父とおんなじ考えなんだろう、と。

 ついニラむオレとは、立ち話もできやしねぇと思ったらしい。

 薫は、病院の喫茶室にオレを連れ込むと、その大きな腕を組んだ。

「……で?」

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