危険な愛を抱きしめて
「で?」

「……頼れるおにーさんが、悩み事相談を引き受けてやるって言うんだよ」

 そう言って、薫はふ……と、笑った。

「恋愛関係か?
 由香里と喧嘩したって言うなら、2:8で由香里が悪い。
 なんせ、由香里は、怪獣だからな。
 ……が、もし。
 音雪が由香里を泣かしやがったら、俺のこの、拳にかけてお前をツブシてやる」

 ……だから、さあ話せ、と半分本気モードで薫が拳を固めてみせるのを、見て。

 オレも、薫につられて。

 ちらっと笑うように、頬が緩んだ。

「めちゃくちゃな事を言ってんじゃ、ねーよ。
 由香里と喧嘩なんざ、しねぇよ?
 ……怪獣相手に、そんなオソロシイこと、ダレがするんだ!
 それに、ガキの頃から、泣かされて来たのはこっちの方だぜ?
 いまさら立場が、逆転するかっての……!」

「なんだよ、じゃあ。
 今日も由香里に泣かされたのか?」

「……ある意味、そう」

「へ?」

 驚いたように、目を丸くする薫に。

 オレはほほ笑む顔を苦くしてクビを振った。
 
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