危険な愛を抱きしめて
「だって。
 もう少ししたら、転院だって、叔父さんが、言ってたのよ?
 そこは、ウチの病院から大分離れた場所にあるし。
 遊びに来てくれるヒトがいなくなったら、さみしいなって思って。
 みんなの写真を、撮るなら今しかないじゃない」

 ……しかも。

 転院先の病院からは、由香里は大学に、通えないし。

 なんて、由香里は本当に悲しそうに言った。

 そう。

 ……一度、大学に通えなくなれば、ほとんど戻って来る可能性はないことを。

 その時点で、由香里は自分の夢を、諦めないといけない、と言うことを良く知ってるから。

 単純に『さみしい』だけじゃない由香里に、俺は、慌てて言った。

「オレは、由香里がどこに転院しても、見舞いに行ってやる。
 だから、そんな、不意打ちみたいに写真を撮らなくてもいいじゃねぇか」

「……だけど……
 毎日来てくれるわけじゃないでしょ?
 それに、雪は、普通に写真に写って? って言っても大抵、イヤだって言うじゃない」

「……うう」

< 234 / 368 >

この作品をシェア

pagetop