危険な愛を抱きしめて
 だから。

 彼女が自分の家の病院に居たときよりも、見舞いに行く回数は減っても、その分。

 見舞いの時は、なるべく病室にいる時間を、長くとるようにはしていた。

 ……けれども。

 どんなに近く、寄り添っても。

 外見から、由香里の容態は、なかなか測れない上に。

 一応、由香里の『彼氏』の席は、確保してはいるものの。

『家族』ではないオレに、何かあった時の緊急連絡がまわって来るはずがなかったから。

 由香里の家族の薫が深刻な顔をすればするほど、心配だった。

「薫……!」

「あ。ああ。
 由香里は、元気だ。
 元気すぎて、この年末年始は、まるまる家に帰ってもいいって言う許可をもらったくらいで」

 薫の言葉に、オレは、ほっと胸をなでおろした。

「良かった、そんなに調子いいんだ」

「まあな……
 一応、ウチは病院だし。
 どこの病院も、暮れは人手不足だから、だいたい、容体の安定した患者は、家に帰されるコトになってる」

「そうか……」

 それでも。

 由香里が自分の部屋に帰ってこられるのなら、オレはうれしい。

 オレは、ココロが晴れわたるように、軽くなった。

 なのに……
 
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