危険な愛を抱きしめて

_(3)

 



 もう、とっくに終電の出た、雪の街を。

 オレは、ふらふらと、さまよっていた。

 行き先に、何のあてもなかった。

 薫と薬にさんざん犯されて。

 急激な熱さと寒さの間を、何度も何度も行ったり来たりしたオレのカラダはもう。

 降りしきる雪の冷たさと、夜明け前の寒さを感じることができなかった。

 今夜は、どこでも一晩中ついている、クリスマスのイルミネーションに意味はなく。

 どこを踏んでもぎしぎしときしむ音が。

 降り積もった雪の音なのか。

 オレのココロが壊れていく音なのか、わからないまま。

 オレはとうとう。

 どことも知れない、街灯の足元で動けなくなった。

 膝を抱えて座り込み。

 街灯の照らす、わずかな光で夜を透かして見れば。

 空からは、とめどなく。

 綿のような雪が、ふわふわと舞い落ちて来るのが目に映る。

 いつまで、そうして雪を眺めていたのかは、わからない。

 ただ。

 今まで自分を支えて来た、プライドも何もかもが、粉々に砕け散り。

 空っぽのココロを抱いてぼんやりとしていたオレに、声がかけられたのは。

 肩にだいぶ雪が降り積もった後のことだった。
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