危険な愛を抱きしめて
「まあ、それは!
 私を抱いてくれるってコト?
 嬉しいわ!」

「いや、そうじゃなく。
 オレは、本当に、背筋が寒いだけで、あんたを抱く気はない……!」

 なんて、言うコトも聞かねぇ。

 ショコラは、問答無用でオレの胸に、飛び込んで来やがった。

 と。

 ヤツは、オレの素肌に触れて、顔をしかめる。

「………熱い?」

「……いや、どちらかと言うと寒気がする」

 そんな、オレの訴えに。

 ショコラは、あっさり離れると、体温計をオレの体温を計りだした。

 しばらくして。

 その器械が指し示す温度に、ぎょっとしたような顔をした。

「すごい熱!
 こんなコトをしている場合じゃないじゃない!」

 誰が、初めたんだ!

 なんて、コトは、言えなかった。

 熱、と聞いて。

 今まで我慢していた気分の悪さが、どっと、押し寄せてくるようだった。

「私のベッドを貸してあげるから、早く寝て!」

「……」

「別に、寝込みなんて、襲いやしないわよ?」

「そりゃ良かった……って、それだけじゃなく。
 もう、間もなくバイトの時間なのに、一度寝たら起きられそうにねぇから、ベッドはいい」

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