危険な愛を抱きしめて
「……バイト!?
 その熱じゃ、無理よ!
 休まなきゃ!」

「……今日は、絶対休めねぇ」

 頑固に言い張るオレに。

 ショコラは、心配そうに頬を膨らませた。

「何のバイトをしているの!?」

「ケーキ屋」

 どこの?

 と聞かれて、風ノ塚の名前を出したらショコラは、あの有名な?

 ……とか言った挙げ句。

 クリスマス、だもんね……?

 と、妙に納得してため息をついた。

 そんなショコラに頷いて。

 立ち上がろうとした、そのときだった。


 がくっ、と突然、膝が砕けた。

「……う……ぁ」

 世界が、回る……と思った時には、もう。

 オレは、今まで座っていたソファに、倒れ込んでいた。

「……!
 もう、言わんこっちゃないでしょう!?
 だから……」

 ショコラの声は、聞こえるけれども。

 急に増して来た頭痛と気分の悪さに。

 ヤツが続けて何を言っているのかが、良くわからなかった。

 ……が。

 結果的には、ショコラに、ベッドに寝かされて。

 予想通り。

 そのまま、動けなくなっている、自分がいた。
 
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