危険な愛を抱きしめて
 
 次に、猛烈な喉の渇きで、目が覚めた。

 まだ治まらない、頭痛と寒気を抱え。

 今自分のいる場所がどこだか、良く思い出せないまま、ただ喉をうるおすものを探し……

 そばのテーブルに、水の入ったコップが置いてあるのに気が付いた。

「……!」

 ぎしぎしと音を立てて、動く事を拒否するような上半身を無理やり起こし。

 そのわずかな水をむさぼるように飲んで、やっとオレは、ここはどこか思い出した。

 ……そうだ。

 ショコラの部屋だったんだ。

 飲んだ水の横には、封が敗れた解熱剤とオレの携帯電話が置いてあり。

 ベッドの足元には、ショコラが突っ伏して寝ていた。

 ショコラに、解熱剤を飲まされた記憶は無かったけれども。

 辺りは、ショコラにベッドに放り込まれたときと同じ程度の、薄く陽の差す明るさだったから。

 時間はそんなに経ってないだろうと、思った。
 
 ……そうだ。風ノ塚に連絡……!

 自分のカラダが、思うように動かねぇ。

 さすがに、これではバイトどころか、一人で家に帰るのも難しく。

 あきらめて風ノ塚に連絡を取ろうと、携帯電話に手を伸ばし……

 電源を入れたとたん、驚いた。
 

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