危険な愛を抱きしめて
「ああ、心配をかけてすまない。
 オレも、こんなに長い間眠ったのは初めてで、びっくりしてるんだ。
 でも、もう目が覚めたし。
 迎えを呼んだから大丈夫……」

 そう、言うオレに。

 ショコラは、目をすぃ、と細めた。

「……雪ちゃん、きみ……
 もしかして、何かマズイ薬とか、使ってない……?」

「……え?」

「麻薬……とはいかなくても。
 おかしな薬の乱用をして、カラダとココロを壊したコを知ってるの。
 そのコの眠り方と、雪ちゃんのがそっくりで……
 何か、検査されたらマズイのが出てくるんじゃないかって。
 熱が全然下がらなくて心配だったけれど。
 救急車を呼ぼうかどうしようか、ずっと悩んでたのよっ……!」

 ……おかしな薬……

 そんなもん、飲んでねぇ、と言いかけて。

 思い当たったのは、薫の薬。

 だけども、あれは確か。

「……風邪薬みたいなもんは、飲んでた。
 だけども、あれは合法のやつで……
 市販の薬に混ざっているヤツだって……!」

「たぶん『それ』だわね」

 ショコラは言って、ため息をついた。
 
< 289 / 368 >

この作品をシェア

pagetop