危険な愛を抱きしめて

「今、こんなときでないと、互いに忙しくて、お前とゆっくり話もできないだろうが？
　腹を刺された今回の事件で、さすがのオレもちったぁ『年齢』って言う奴を感じてな。
　年取ってから出来た。
　一番小雪里に……お前の母さんに似ているヤツの行く末が心配になって来たんだ」

「……親父……」

　年甲斐もなく、仕事も遊びもバリバリとこなす父親の。

　意外に弱気な発言を聞いて、オレは、一瞬、言葉に詰まった。

　のに。

　少し、しんみりした空気を嫌って、親父は、頭を振って言いやがった。

「それに……もうすぐ、大学受験の時期だろうが
　どうせ、お前のことだ。
　ここで言っておかなくては。
　オレが手配した大学への入試のテストを、白紙で出しかねないからな。
　音雪には、予定道理、大学の経済学部に入ってもらう。
　ケーキ作りへの道は、あきらめろ」

　なんていう、横暴親父の意見に、オレはカチンと頭に来た。