危険な愛を抱きしめて
「……由香里……!」

 そう。

 雪の積った庭の中に、由香里が座り込んでいた。

 暖かそうなコートを着ていたけれども。

 いつからいたのか、鼻と手袋のない手が寒さで真っ赤になっている。

「由香里!
 なんだって、そんな所に!
 カラダの具合は!?
 こんな寒いところに居ちゃ、ダメじゃねぇか!」

 あわてて布団から這い出し、庭に出て。

 どうやら、そのまま動けないでいるらしい、由香里を両腕に抱きあげ、息を呑んだ。

 その、あまりの軽さに。

「……!」

 イブの時は、気がつかなかったけれども。

 由香里は、公園まで抱いて走ったあの夜よりも。

 さらにもっと軽く、儚くなっていたから。

 彼女は、部屋に入っても、オレに全体重を預けたまま。

 きまり悪そうに、ふふふ、と笑った。

「ごめんね?
 たまたま近くに寄ったから、雪がどうしているかなぁって。
 昼間から寝ているけれど、風邪でも引いた?
 調子悪そうだったから、見たらすぐ帰ろうと思ったんだけど……」

 たまたま近くに、寄った、だって!?
 
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