危険な愛を抱きしめて
年末、年始の外泊を終えてから、あと。
自分のウチ、ではない別の病院で。
由香里は、点滴に繋がれることが多くなった。
その、由香里のカラダに入る薬の種類を、自分で調べたり。
由香里の担当の医師から、治療計画を聞いて、それが。
あまりに高価な上、国民健康保険が効かない薬だということが、判った。
その一方で、由香里の病気を治療するのなら。
これ以上最新、最適の薬はないのだとも知った。
由香里の担当をしているベテランの医師は。
いつも、眉間にしわを深々と刻んで、オレと話をする。
「薬の値段と、効果がこんなに釣り合わない薬もまれだ」と前置きをしてから。
由香里への『治療』は。
気休めでしか、ない……と。
本来なら。
こんなに高価な金を支払ってまで。
治療を続けようとする者は、いないんだ、と。