危険な愛を抱きしめて
「それじゃ、あんたは!
 医者のくせに、由香里をあきらめるのか!?」

 由香里の叔父と同じような言い草に、オレが思わず詰め寄ると。

 その医者は、首を振って言いやがった。

「患者本人と、家族が。
 出来る限り、頑張ると言っていますから。
 その意志がある限り。
 わたしも、他の、病院のスタッフ達も、全力で治療をさせていただきます」

 家族!

 由香里の叔父が、積極的な治療を望んでいないことを考えると。

 やはり。

 薫、だった。

 薫は、由香里をあきらめてなんて、いなかったんだ。

 手段は、マズくても。

 ヤツは、ヤツなりに、由香里の病気と戦うつもりでいるんだ!
 
 だけども、そんな。

 ほんの少し芽生えたような『希望』が。

 同じ医師の言葉から、打ち砕かれた。

「しかし。
 ほとんど治療、というよりも、延命作業に近いモノなので……
 本人と、家族があきらめた時点ですぐ、治療を断念することになります。
 それに。
 言いにくいことですが、資金的に滞るようでしたら、やはり。
 今と同じ、水準の。
 最適で、最新の治療の継続は難しいです」





 ……なんだって!?

 
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