危険な愛を抱きしめて
哀(1)
高価な、薫の薬を買い続ければ。
手持ちの金が、尽きるのも時間の問題だった。
悔しいことに、親父の言った通り。
ケーキ屋のバイトなんかでは。
由香里を、支える金を作ることさえ。
……できなかった。
パティシエとして、一人前になって。
風ノ塚のように稼げるまでには。
当然、まだまだ、長い時間が必要だったし。
例え、一人前になったとしても。
望むだけの金を、手に入れることが出来るのかさえ、疑問だった。
何よりも。
オレには『今』金が必要だった。
そして。
村崎からの援助が、当てにならないとなると。
他に『手段』は、限られた。